定年後に一人で五島列島へ!3ヶ月の釣り旅の詳細
定年後、顧問として細々と仕事を続けながら、ずっと心の中に温めてきた夢があった。「いつか五島列島で、思いきり釣りをしたい」という夢だ。
東京の一人暮らしは気楽なものだが、歳を重ねるにつれて「やりたいことは後回しにしない」という気持ちが強くなってきた。今年66歳。体はまだ動く。釣り竿を担いで長旅ができる体力も、まだある。そう思ったとき、もう迷わなかった。
なぜ五島列島だったのか
五島列島を選んだ理由は単純だ。釣り人の間では「九州屈指の釣り場」として名高く、メジナ、クロダイ、ヒラマサ、アラなど、磯釣り・船釣りを問わず大物が狙える場所として知られている。特に福江島や中通島の磯は、一度は竿を出してみたいと長年思っていた聖地のような場所だった。
ただ、問題は「3ヶ月」という期間だ。10日や2週間ではなく、腰を落ち着けて各島を巡りながら釣り続けたい。そのためには、現地での自由な移動手段が絶対に必要だった。
レンタカーを探しはじめて気づいたこと
五島列島への旅のルートとして、まず福岡空港に飛び、そこからレンタカーで博多港まで移動してフェリーに乗るか、長崎空港経由でフェリーを利用するか、いくつかのパターンを検討した。移動の柔軟性を考えると、福岡空港でレンタカーを借りるのが一番使い勝手がいいという結論になった。
問題は費用だ。3ヶ月、つまり90日間ものレンタルとなると、大手レンタカーの料金表を見るたびに眩暈がした。1日あたりの料金に90をかけてみると、軽く数十万円を超える計算になる。釣り道具や宿泊費、船釣りの乗合料金なども含めると、トータルの旅費が膨れ上がる一方で、さすがに「やっぱり短期間にするか……」と気持ちが揺らぎかけた。
そんなとき、ネットで「福岡空港 長期レンタカー 格安」と検索していて目に飛び込んできたのが、業務レンタカーという存在だった。
業務レンタカーとの出会い
「業務レンタカー」という名前を見たとき、最初は法人向けのサービスかと思った。個人の自分には関係ないかもしれないと、一瞬スクロールしようとした。しかしページを開いてみると、個人でも利用できることがわかり、さらに料金を見て思わず声が出た。
1ヶ月単位での長期レンタルに対応しており、料金が大手と比べてかなり抑えられているのだ。しかも福岡空港の近くに店舗があり、アクセスも問題ない。飛行機を降りてそのまま借りられるというのは、荷物の多い釣り旅には本当にありがたかった。
釣り竿のケース、タックルボックス、ウェーダーやライフジャケット……荷物が多い釣り師にとって、車は単なる移動手段ではなく「動く荷物置き場」でもある。トランクに全部放り込んで、気の向くまま島の各所を巡れる。そのイメージが一気に現実味を帯びてきた。
3ヶ月分の費用を計算してみた
業務レンタカーで3ヶ月(90日)の見積もりを出してもらったところ、当初大手で試算していた金額と比べて、数万円単位でのコスト削減になることがはっきりした。
この差額は、釣り旅においては非常に大きい。たとえば、五島列島で船釣りに出るとなると、乗合船の料金が1回あたり8,000円〜15,000円ほどかかることも珍しくない。浮いた交通費があれば、その分だけ多く船に乗れる。あるいは、少し奮発して五島の新鮮な魚介を使った食事を楽しむことだってできる。
レンタカーの選択ひとつで、旅の中身がぐっと豊かになる。66歳になってはじめて実感した「賢い旅の組み立て方」だった。業務レンタカー福岡空港店へ
福岡空港から旅はじまる
羽田から福岡へ飛び、空港に降り立ったのは10月の初旬だった。秋の九州はまだ日差しが強く、半袖でも過ごせるくらいの陽気だった。業務レンタカーのスタッフは丁寧で、手続きもスムーズだった。3ヶ月お世話になる相棒となる車を受け取り、荷物を積み込むと、いよいよ長旅の始まりという実感が湧いてきた。
博多港まで車で移動し、フェリーに乗り込む。慣れた人ならあっという間の行程だが、初めての五島行きとなる自分には、博多の港の景色も、玄界灘の波も、何もかもが新鮮だった。
福江島:はじめての磯釣り
五島列島の中心・福江島に上陸してまず向かったのは、島の南西部に広がる磯場だった。レンタカーがあるおかげで、荷物をそのまま積んで港から30分ほどで目的地に着ける。バスや徒歩では到底たどり着けない場所だ。
地元の釣具屋で情報を仕入れると、「今の時期はメジナがよく出てるよ」と教えてもらった。フカセ釣りのタックルをセットして、岩礁に立った瞬間、潮の香りと波音が全身を包んだ。東京のオフィスで顧問会議に出席していた自分が、今ここにいる。その対比がなんだかおかしくて、一人でにやりとした。
竿を出すこと数時間、42センチのメジナが竿を大きく曲げてくれた。口元がほんのり緩んで、気づいたら笑っていた。
中通島・奈留島・久賀島……島から島へ
その後の2ヶ月半、五島列島を文字通り巡り続けた。中通島では磯からヒラスズキを狙い、奈留島では地元の漁師さんに混じって船に乗せてもらい、久賀島では誰もいない静かな砂浜でキス釣りを楽しんだ。
島ごとに港の雰囲気が違い、釣れる魚も違い、地元の人の言葉も微妙に違う。レンタカーがあるから、気に入った釣り場に何度でも通えるし、「明日はあの岬の先を試してみよう」と気ままに計画を変えることもできた。
宿は島の民宿を渡り歩いた。夕食に出てくる魚が、昼間自分が釣り上げたのと同じ種類だったりすることもあって、そういうときは民宿のおかみさんと二人で笑った。
3ヶ月を振り返って
90日間、五島列島に滞在して気づいたことがある。それは、「旅の豊かさはお金の多寡ではなく、いかに賢くお金を使うか」ということだ。
レンタカーを業務レンタカーにしたことで、浮いた費用を釣りや食事や宿泊に充てることができた。大手と比べて遜色のない車に乗りながら、旅の中身はずっと充実したものになった。
東京に戻った今も、あの磯に立ったときの潮の匂いと、竿が大きくしなったときの手応えが忘れられない。来年は夏に来ようか、それとも春のイサキの季節を狙うか。すでに次の計画を頭の中で温めながら、今日も顧問の仕事をこなしている。
60代に入ったからこそ、長い旅に出られた。そしてその旅を支えてくれたのは、一本の釣り竿と、福岡空港で借りた一台の車だった。